斜陽 [book]
実は太宰治はほとんど読んだ事がなかった。中学生の頃「走れメロス」を読み。学生時代に文学の授業で「津軽」を読まされただけ。妻の祖父は元共産主義者で太宰治の友人だったらしいが、私の人生と太宰治とはそれくらいの接点だ(なんのこっちゃ)。自称・元文学青年だったのに、実は太宰とはほとんど関わりが無い。青森県・金木町の斜陽館には観光に行ったことがある。そこで頬杖をつきながらコーヒーを飲み「生まれてきてすいません」とつぶやいたこともあったが、太宰治は、ほとんど読んだことがない。
苦節○○年。ついに、太宰を読みました。
四半世紀以上も本棚のインテリアと化していた「斜陽」をついに読んだ。「こんな話だったのか」というのが率直な感想。一番予想外だったのは主人公が女性だったということか。太宰に迎合している人たちの気持ちが僅かながら分かったような気がした。とにかく、文書の美しさというのか繊細さというのか、天才だという言われるのも分からないわけではない。デカダンというのか、エロチシズムというのか、頽廃的というのか、耽美的というのか、そんなものも何となくわかったような気になった。でもうまく説明できない。
しかしながら、天才的な文章で退廃的な世界を芸術として確立してしまうことに違和感を覚える。やはり芸術とは普遍的に美しいものであるべきではないだろうか?
太宰の世界が魅力的であることは少しわかった気がしたが、私は好きではない。
コメント 0