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産まれた場所 [ひとりごと]

 私が生まれた町は、今住んでいる町からはそれほど遠くはない。しかし、生まれた町を訪ねる機会はほとんどなくなってしまった。はっきり言って、取り残されたようなさえない町なのだ。そのため、その町に行くような用事もほとんどない。今日は、突然、思い立ってその町まで来て見た。
 私は、生まれた町が大好きだった。もちろん、今でも好きだけれど。今でこそ、生まれた街に比較的近い場所で暮らしているが、転勤族の家庭に育った私には、はるか遠い、憧れの、聖地のような存在だった。夏休みに数日間過ごす、この町の風景は少年の頃の私には全てが輝いていた。
病院.jpg
 
私が産まれた病院。建物はたぶんそのときのまま。

 しかし、大人になり、子どものころと違う見方が出来るようになってしまうと、あんなに輝いていたこの町は、旧態依然のやっかいな田舎町という側面の方が目に付くようになってしまった。
 今日は、私が生まれた病院を見に行ってみた。古い、田舎の総合病院は存続の危機という噂も聞く。私が生まれたときから立て直されてはない。ここで自分が生まれたということはとても不思議な感じだけれど。
 かつては、輝いて見えたこの町の今の姿と、ここに立っている自分が重なるような悲しい気持ちになってしまった。
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