氷壁 [book]
久々に読み応えのある一冊だった。
井上靖は大好きな作家の一人。大好きと公言する割には、あまり作品を読んでいないのでちょっと恥ずかしいが、やはり、井上靖は好きな作家の一人だと思った。とにかく、文章が上手い。何気ない細かい描写も、じっくり読めば読むほど、小説の世界の色や匂いを感じるような錯覚を覚える。こんな時は、日本語で原文を読める日本人であって幸せだと思う。
井上靖は中学生の時に夢中になった。彼の自叙伝である「しろばんば」の一部が国語の教科書に掲載されていたことがきっかけだった。その舞台となった伊豆・湯ヶ島にはいつか行きたいと思いながらもその夢はまだ実現していない。
これは大人の青春小説です。
「氷壁」はたぶん、中学生か高校生の時に購入したものだと思うが、その時は読めなかった。これは大人の小説なのだ。その頃に読まなくて良かった。そして、大人の小説でありながら、大人の青春小説なのだ。久しぶりに読書に夢中になった。
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