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泥にまみれて [book]

 「男と女は違う」なんてことは誰でも知っている。しかし、その違いを的確に表現することはとても難しい。そして、見事にその違いを表現すると、とたんにベストセラーになったりする。男と女が違うということは誰もがわかりきっていることのようで、その違いを知ることは人類の永遠のテーマのようだ。
 かつてユーミンの「魔法のくすり」という曲の一節に「男は誰も最初の恋人になりたがり、女は誰も最後の愛人でいたいの」というフレーズを聞き、「へぇ」とトリビアのように考えたことがあった。オフコースの初期の作品の「もう歌は作れない」の冒頭の「僕にとって ほんのささいな 言葉のやりとりも いつも先のことばかり 考えていたから あなたにしてみれば 離れてゆくように見えたの」という歌詞も大人になって聞き直して関心したものだ。最近は(もう最近ではないか)椎名林檎の「ギブス」の「あなたはすぐに写真を撮りたがる あたしは何時も其れを厭がるの だって写真になっちゃえば あたしが古くなるじゃない あなたはすくに絶対などと云う あたしは何時も其れを厭がるの だって冷めてしまっちゃえば 其れすら嘘になるじゃない」という歌詞には心底ぶっ飛んだ。上記の三作は、私にとっては見事に男と女の違いを表現した傑作。
          
            なかなか鋭い着目点、いつか正面から反駁してみたい
 さて、約一時間で読み終えた石川達三の「泥にまみれて」という本も男と女の違いをテーマにした作品。この本はちょっと曲者だ。たぶん、20代に読んだのなら、嫌悪感を覚えたと思う。この本は筆者の夫婦論、愛情論を一遍の小説の形をとって吐露したものであるが、私の価値観、というか聖書が教えるところとは全くかけ離れている。かなり鋭く、男と女の違いを描いているが、その違いを理解し乗り越える術が、私には妥協のススメとしか思えない。たぶん、20代に読んだら「単なる男のエゴ」としか思わなかったかもしれない。しかし、着目点が非常に鋭いので説得力がある。でも、この本を読んでも結婚生活や夫婦生活に希望を持つことは難しいだろう。だがら、独身者は読んではいけない。新婚者も読んではいけない。
 この本は教会の本棚から拝借してきたのだが、はっきり言って聖書の教えとは相反する内容だ。ちょっとカタいクリスチャンなら悪書と断罪するかもしれない。そんな本がどうして教会の本棚にあるのかは不思議だが、こんな本も並んでいるということは、私が通っている教会が情報操作やマインドコントロールをするような場所ではないという証拠であると解釈しよう。
 この本に描かれている石川達三の夫婦論、愛情論に反駁するのはちょっと時間がかかる。というか、がんばって脳みそを使わなければならない。でもこの本をたたき台にして聖書の夫婦論や結婚論を展開させたら、かなり面白くなると思う。時間と脳みそがあったら、いつか取り組んでみたい。それができたら絶対面白い自信はある。


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しばた

「男は誰も最初の恋人に」は
ユーミンが最初ではないそうです。
http://blog.livedoor.jp/hitoshione/archives/50314689.html
by しばた (2007-04-20 09:43) 

しゅじ

しばたさん。ご指摘ありがとうござます。ユーミンのオリジナルかどうかということは本文の主旨ではありませんが、またウンチクを蓄えることができました。紹介してくださったリンクの記事は興味深かったです。
by しゅじ (2007-04-21 22:12) 

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