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海と毒薬 [book]

 遠藤周作は大好きな作家の一人。作品の80%は読んでいると思う。しかし、恥ずかしながら代表作の「海と毒薬」は未読だった。実は、これまで4回くらい読みかけていて、最初の30ページくらいは事細かに覚えているほどなのだが、なぜか、読み終えていなかった作品。
          
               学生時代に買った本をやっと読みました。
 これは、戦時中に九州大学医学部で、米軍の捕虜兵に対して行なわれた人体実験をモチーフに描かれた問題作。遠藤周作の筆力を感じるのは、手術の場面などを呼んでいると、体がよじれるような痛みを感じてしまうところ。この作品は映画かもされているが、画像で見たいとは思わない。
 「海と毒薬」というのは、タイトルとしては良くできていると思うが、なぜ、「海と毒薬」というタイトルなのか、読み終えても凡人の私には理由が分からなかった。誰か、バカにしないで教えてください。
 どうでもいいことだが、この文庫本、学生時代に薄汚い古本屋で購入したもので、いくらで買ったのかも覚えていないが、定価140円と印刷されている。昭和50年に印刷されたもの。ページの間に、九大生体解剖実験事件を伝える新聞の切り抜きが挟まっていた。こんなオマケは古本屋ならではの楽しみ。
 


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コメント 2

uttie

「海と毒薬」というタイトルは、一度聞いたら頭にこびりついて
忘れることが出来ない、というインパクトがありますよね。秀逸

当時の九大での実験目的の大義名分は、戦場などで活用出来る
救命応急処置のデータ作成

出血多量の怪我人に海水を注射すると
血液の代わりとして作用したようです。

そのために、捕虜の血を抜き、かわりに海水を注射し
どこからが海水が「毒」になるのかが知りたかったという
もっともらしい釈明もあったようです。

タイトルと無関係じゃないかもしれませんね。

僕自身は、海に流れ込む毒薬のイメージは
人の心に入り込んだ罪と重なります。
by uttie (2007-06-12 00:18) 

しゅじ

バカにせずに教えてくれてありがとう。
この作品で遠藤周作は罪責感を見事に描いています。そのような意味では毒が流れ込む海になぞらえて罪をシンボリカルに表現したタイトルだと思います。
by しゅじ (2007-06-12 23:34) 

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